第一章

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「末次さん、これから遅くなる時は、オレに構わず帰ってください」 車で送ってもらいながら、こんなことを言ってしまう…。 「いえ…私は、社長のお体が心配なんです」 眉尻を少し下げて言っているのが、ルームミラー越しに見えた。 「心配かけて、すみません…」 思わず、頭を下げる。 そうしているうちに、マンションに着いた。 「では、明日、8時にお迎えにあがります」 「自分で行くので、迎えはいいですよ」 社長になってから、何度も言った言葉。 秘書のいる生活に、いまだに、慣れない。 自分でできることは、自分でするつもり。 期せずして、社長になった、といえども。
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