第五章

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いろんな仕事が立て込んでいて、なかなか動けなかった… 徳永綾に関する調査資料を見てから、気がつくと、一ヶ月がたっていた。 「末次さんが、早退するなんて、珍しいですね」 第二秘書の浦川くんに、夕方からの指示を出していると、社長が秘書室にやってきた。 「すみません、どうしても外せない用事がありまして…」 「もっと、気軽に有給使っていいんですよ。 仕事も分かってきましたし…」 そういいながら、コーヒーメーカーを操作している。 一休みのため、社長室から出てきたらしい。 内線してくれれば、持っていくのに… 「し、社長! コーヒー入れます!」 ほら、浦川くんが恐縮している。 『自分のことは、自分でする』 という考え方が染み付いているので、理解するのに、時間がかかったが… 「コーヒーくらい、自分で入れられるよ 浦川くん、夕方からよろしく」 「はいっ! よろしくお願いいたします!!」 カップを持って社長室に帰っていく後ろ姿に、お辞儀をする。
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