第五章

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「これを…」 鞄から、一枚紙切れを取り出し、彼女の前に差し出した。 「受け取って、頂きたいのです」 彼女は、小さいため息を吐き出した。 「受け取れません」 紙切れをスッと、返してきた。 やっぱりね… と、いう顔をしている。 オレが会いにきた理由が、分かっていたのだろう。 差し出した紙切れは、小切手だった。 いわゆる、手切れ金。 受け取れない、という彼女に、畳み掛けるように尋ねる。 「金額が、足りなかったですか…?」
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