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飛行機雲がくっきりと ふたつの世界を切りとっていく お父さんの転勤先があんなに遠くだなんて 優しいだけじゃない神様はきらい なっちが遠い場所に飛び立ってしまった3月 あれからわたしは何回も同じ夢を見る そこは広い草原 一本だけ立つ大きな木 背の高い男の子が 青白い光の玉を手のひらにかかげてる わたしは目尻を滑るぬるい感触に目をさます 口にほおりこんだアワ玉が 春風にそよぐ青葉の囁きみたいに ショワショワショワショワ 心をつたっていった
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