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時は目隠ししたまま わたしをすこしだけ大人にかえた 17才の1月はようしゃなく吹き抜けて 短い制服のスカートから伸びる足を冷たくたたく 気持ちだけでもなっちに近づけるかなって 天文部に入部してみたけれど 星はほんとに星のかず さっぱり頭に入ってきてくれない夜空のキラメキ それでもひとつだけ胸を張っていられるのは 昴の星のおかげ なっちが教えてくれた星 あの夢のあの子は きっとなっちに違いなくて かかげていた光の玉は きっと 六角形からはじかれた青い光が 膿んだ心をせめたてる あの日逃げていった背中が 胸の奥のズキズキが また涙をつれてくる 「おばあちゃんわたし このまま色んな大切なことを忘れちゃうのかなぁ」 そんなわたしにおばあちゃんは言った 「大切なものはね いのりが信じて祈り続けていれば ずっとそこにあるんだよ」 そう言ってわたしのてのひらの星形を指差しながら ガラスの猫瓶から取り出したアワ玉を 口にほおりこんでくれた シュワシュワのリズムがのどをふるわせて 目にうつる星形をコロコロゆらす 遠い時の向こうにおきざりにした2月の白い空と 夢の色をかきまぜながら
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