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こんどは溶けないように わたしはもうひとつ 特別なラッピングをする すっかり白く塗り替えられた放課後の道を 転ばないようにゆっくり歩く 大好きな背中は いつもの屋上にあった いま何倍早く心臓が脈を打っているんだろう 震えているのは きっと寒さなんかじゃなくて わたしの声に振りかえる彼の目の高さに差し出した両手が ジンと音をたてた 「はい こんどは絶対 とけないから…」 ほっぺの赤い雪だるまは 彼のほっぺも同じ色にそめて それ以上に赤くなったわたしの手のひらは そんななっちの手のぬくもりに包まれていた
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