まだ色を持たぬ小さなキセキ

13/13
前へ
/17ページ
次へ
「だから、ソファからでいいってば。 ちゃんと座ってなさいって」 「大丈夫! 気分悪くなりそうになったらすぐ向こうに行くから。 だって、ちゃんと清海の手元を見ながらじゃないと教えられないもの。 はい!まずはそこにあるチョコレートを細かく切って湯煎にかけて」 私が作ろうとしていたのは、簡単な型抜きチョコレート。 千波ちゃんに教えてあげると約束していたガトーショコラは行程が多すぎるので今年は諦めた。 「はぁっ? チョコ切って、溶かして、また固めるの? なんて不毛な作業…………」 「文句言わない! その手間が愛情なんだよ!」 「手間なんかかけなくても俺は愛に溢れてるってば…」 「いいから、やって!」 私はニッコリ笑いながら清海にボウルを差し出した。 …………ねえ、 ぴーすけ? 私たちのお話聞こえてる? 新米だけど、お父さんもお母さんもぴーすけのこと楽しみに待ってるからね…。 ーーーENDーーー
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加