まだ色を持たぬ小さなキセキ

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「踊子さぁ……」 紙袋に目をやった清海が大きなため息をつく。 「生徒の義理チョコにヤキモチ妬いてどーすんの?」 「ヤキモチじゃない……」 「じゃあ、何?」 「妻の意地。 だって、勉強に忙しい生徒さんたちが清海のためにチョコをくれるんだよ? それなのに妻の私が何もしないなんて出来ないじゃないかぁ!!」 「出来ないじゃないかぁ!って何偉そうに言い切ってんの?! ヤキモチだろうが意地だろうが大差ないわ。 どっちも今は必要ないでしょ?」 冷静にざくっと言い返されて、もう一睨みされて、ぐうの音もでない。 私はがくりと項垂れた。 そんな私の頭を軽く軽く揺すりながら清海がゆっくりと問い質す。
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