まだ色を持たぬ小さなキセキ

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「何でだよ、傷つくなー」 清海が子どもみたいに頬を膨らませている。 私は半ば呆れながら言った。 「何で、って私さっきまで吐いてたんだよ?」 ちゃんと口は濯いでるけど……とはモゴモゴと誤魔化しながら続ける。 「何そんな小さいこと気にしてんの? そんなの関係ない。ほら……」 再び近付いてきて私に触れる清海の唇。 数秒後にはチュッと可愛いリップ音とともに離れていった。 敵わない。 いつまでたっても、私は清海に敵わない。 私は真っ赤になった顔を一生懸命両手で仰いだ。
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