呼んだのは彼、呼ばれたのは弾力のある何か

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ライドは駆け足で階段を降りる。 「(時間稼ぎ、そう時間を稼げればなんとかなる、教師も来てくれる)」 自分に言い聞かせるように言葉を何回も心の中で呟く。 「(直に応援も来る、俺はできることをやる)」 階段を駆け降り、廊下を出来る限り素早く走る。 「あとは、行動あるのみ、」 ライドは視界に実験室を捉えた、そしてスライドドアに手をかける。 「開かない、鍵かっ」 中から複数の話し声が聞こえる。 「くそっ、なら吹き飛ばすのみっ」 ライドはドアから一旦距離をとり、肩を前に突き出した構えになる。 「ふーっ……よし!」 掛け声と共にライドは実験室のスライドドアに向かって突進した。 ドアが軋む音、焦る声、怒号が場を支配する。 「き、きっつ……」 約6回のタックルによって実験室のドアは鍵がかかったまま、2枚とも部屋の内側に外れて倒れた。
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