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瀬乃山は花蓮と清香の言葉を何度も思い返していた。
二人は愛羅の退職を聞くと、すぐに宮武が原因ではないかと疑った。
愛羅が普段、共に仕事をしているのは、宮武と瀬乃山しかいない。
そして会話の相手は瀬乃山だったということを除いても、原因としてすぐに宮武の名前が挙がることは不自然ではないか。
二人の言うように、宮武の問題行動を自分はずっと見過ごしていたのだろうか。
宮武を呼んで追求するべきとは思ったが、どう切りだしていいものか見当もつかなかった。
宮武は創業以来の片腕であり、非常に優秀だ。
しかし、それ以上に学生時代からの瀬乃山の友人でもあった。
宮武が社交的とも、人当たりが良いとも決して思わない。
だが、人を故意に傷つけるような男だとは信じられなかった。
それに、あの二人は恋人同士ではなかったのか。
宮武は頻繁にこの部屋に来て、何かと愛羅に構っていたし、愛羅の手製の弁当まで食っていたのではなかったのか。
愛羅も宮武のことを酷く気にしていたように思うし、現に花蓮も愛羅は宮武を尊敬していたと言っていた。
それは、想い合っている証ではなかったのか。
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