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宮武が自分と愛羅の関係に気付いていたかどうかは分からないが、愛羅の仕事が軌道に乗ったから、宮武をこの部屋から出したのは事実だった。 愛羅のせいで自分が遠ざけられたと、宮武が逆恨みしていたとすれば辻褄が合う。 己の情けなさに反吐が出そうになるのを堪え、瀬乃山は慎重に口を開いた。 もはや常軌を逸した瞳で瀬乃山を見つめる宮武を、しっかりと見据えた。 「じゃあ、この間のここでの出来事は、合意の上ではなかったのか。恋人同士だと言うから、あいつがお前を庇うから穏便に済ませたというのに。……俺を、騙したんだな?」 あの時、愛羅は震えていた。 本気で怖がっていたのだ。 それを、嫉妬で頭に血が上っていたせいで、見過ごした。 瀬乃山が瞳に炎をたぎらせていることも目に入らないのか、宮武は笑う。 「あいつのことなんて、どうでもいいじゃないですか。ねえ、社長……」 その歪んだ表情が近づいてきた瞬間、瀬乃山の体に激情が駆け巡った。 ドガッ……と鈍い音がして、宮武が床に転がる。 瀬乃山が頬を殴ったのだ。 「な、何するんですか!」 「お前、あいつにどんな怖い思いをさせたんだ! なんでそんなことしたんだよッ!!」 「わ、私はあなたのためを思って……」
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