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瀬乃山は愛羅の住むマンションのドアの前に佇み、真っ暗な空を見上げていた。 インターフォンを鳴らしても、反応はなかった。 居留守を使われているかもしれないと思ったが、それなら朝までここで待つつもりだった。 いくら何でも丸一日待っていれば、何かしら接触できるだろう。 相変わらず、愛羅の携帯はつながらない。 会社の固定電話からも、携帯電話からも掛けたし、愛羅は知らないはずの瀬乃山のプライベート用の携帯電話からも掛けた。 清香も花蓮も連絡していると言っていたが、一向に通じたと言う一報は入らない。 留守電はもう何十件と溜まっているはずだ。 それにもう1件追加したところで、瀬乃山は項垂れ、溜め息をついた。 「あの……」 「はい?」 気付けば、髪の長い女性が目の前に立っている。
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