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麗美は瀬乃山との関係は言及していない。
知っていたのなら、こうして会ってはくれなかっただろう。
それならば、と瀬乃山は己の狡さをもう一つ重ね、麗美に懇願する。
愛羅が姉に言っていないことに、一縷の望みを見た気がした。
「妹さんに伝えてくれませんか。せめて、私から謝らせてほしいと」
せめて直接、自分の気持ちを伝えさせてほしい。
「もし会っていただけるのなら、宮武からも謝罪させてほしい」
それから、と狡さついでに一つ嘘をつく。
「もう来たくないのでしょうが、退職手続きが必要です。宮武に会わないようにさせますので、もう1日だけ、1時間でもいいので出社してもらえませんか」
「……あの子に訊いてみます」
溜め息まじりに渋々そう答えた麗美に、お願いしますと深く頭を下げて、瀬乃山は辞した。
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