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「お姉さんに言ったが、宮武は解雇する。もう怯えなくていい」
静かに告げる瀬乃山に、愛羅は慌てて口を開いた。
今日の目的の一つは、宮武の処遇を確認することだった。
「そんな、宮武さんは……そうせざるを得ない理由があったんです」
「それは、俺を好きだと言うことか?」
「あ……」
まさか瀬乃山が知っているとは思わず、愛羅は口元を両手で覆った。
「そんなものは理由にならない。君を傷つけていいわけがないんだよ。だから、君の退職の話はなかったことにしてくれるね?」
愛羅はどう答えるか、考えあぐねたままここに来ていた。
しかし、瀬乃山に対していると、徐々に心が傾いでくる。
「すみません……それはできません」
「なぜだッ!?」
急に瀬乃山に身を乗り出されて、愛羅は思わず一歩二歩と退いた。
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