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「だって、社長だって酷いじゃないですか。もう何日も前に退職願を出したのに」 「……お互い様だ」 「そうですね」 仲直りのキスは、今までで一番甘かった。 こんな風に誰かを愛し抱き合える日がまた来るなんて、思ってもみなかった。 こんなに温かい気持ちは、二度と持てないと思っていた。 でも今、自分はこんなにも幸福だ。 この胸に、再び歩きだそうとする勇気があると知ったから。 信じ愛し合いたい人たちが、それを受け入れてくれていると知っているから。 きっとそれさえあれば、自分は何度だって立ち上がれるのだ。 愛羅はそっと微笑み、愛しさを胸に抱いた。 ……Fin.
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