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……うおぉぉぉぉっしゃあぁぁぁぁあ!
確率が上がりつつある。俺は今、確信する。
Wさんの例え義理であっても。いや義理なら
普通でいい。わざわざ前もって隠す事もない。
だが油断はするな。友チョコだとしても、
大きな一歩だろう。人類にとっては。
手作りっぽい気がする。手作りだ。
違っても手作りだと思って頂くのが礼儀。
問題はコレをどうやってカバンへ移動。
その時、俺はチョコが暖房で溶けない様に、
密かに数センチだけ、窓を開けておいたのだ。
急な突風で風がカーテンをフワっと仰ぐ。
いまだ!コンマ0.3秒の早業だったと思う。
勝ったのだ。俺は今、勝利を噛みしめている。
直後にAとBがバカ面さげてやってきた。
A「嫌な日だよな。」
B「マジ、早く帰りてー。」
俺「……。(俺はWさんと帰りたい。)」
その後、Wさんが戻っても、どうにも緊張し
目を合わせられない。元々だけどWさん可愛い。
Wさんだってとにかく放課後まで、気まずいか。
*
なんだかんだで、放課後になってしまった。
Wさんは日直でN君と職員室へ行っている。
AとBに帰ろうぜと言われたが、ちょっと
進路の事で先生と話したいんだと言って、
適当に誤魔化し、先に帰宅させた。
あとはN君を上手く回避させれば……。
しつこいようだが、やはり気になる。
本当にこれはWさんからのチョコなのか。
いま、教室は誰もいない。二人が戻っても
問題にならないように、こっそり机の下で
開ければ確認できる。
万が一、2人に見られてもN君の人柄から、
それを噂の種にするような人じゃない。
だから、彼はモテるのだ。イケメンだし。
よし。開けよう。
17年間、海賊王になるまで探し求めたこの
箱……の枠。あれ?!
リボンはシンプルで文字も模様もない赤。
シールで留めていない単なるチョウチョ結び。
解くと、茶色いいかにもチョコレート様って
感じの色の包装紙だが、文字や模様は無い。
で開けた。箱じゃなく箱の枠だけ入ってる。
つまり15cmくらいの正方形の箱で、
底まで厚さ3cm程度。ハートチョコなら、
ぴったりなサイズで御座います。
でも、フタが無くて底が黒い。入れ忘れ?
そう思ったけど、カードやメッセージもなく。
俺宛とも書いてない。空箱だと思ってクスっと
笑いながら持ち上げた。
箱の底は黒いのではなく、暗いのだ。
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