第1章

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 従って、これは箱ではなく箱の枠のような 何かである。どういう仕掛けなんだろう? 四次元ポケットじゃあるまいし。  どんなに目を凝らしても、覗き込んでも、 何も全く見えない。ただ真っ暗なんだ。 しかも奥があるみたいで不気味だ。  こういう変わった包装なんか、自分でも 作ったりできるのだろうか?何せ貰った事が 無いのだから、こんなスイーツ用クラフトは 全く詳しくない。  手を入れたらチョコが出てくるのかな?  恐る恐る、指先だけ入れる。生温い。 慌てて、手を引っ込めると……。  指がチョコフォンデュになってる。ペロリ。 甘い。何だこれー!面白い!Wさん凄い! こんな仕掛けだなんて、サプライズ過ぎる!  袖をまくって手を突っ込んでみる。中で チョコがグルグル回ってるっぽい。楽しい。  グッ。  手を掴まれた。チョコの渦へ、ジャボン。 俺は流されていく。チョコの渦へグルグル。 教室の床に箱の枠が落ちて、紙を吐き出した。  一枚のレシピカード。【NO DATA】  あーあ。サーバーから落ちちゃった。
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