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「うるさい」
暗闇の中で少年がポツリと呟く。
「仕方ないだろ、ここはそういう所なんだから」
少年へと返答する声が暗闇へと響いた。
「だいたい何で俺がこんな事しなきゃいけないんだよ」
「そりゃあお前、仕事だからだろ」
この仕事に不満があるのか、少年は不愉快そうに唇を尖らせ相手へと話しかける。
「でもさ!普通実の息子にこんな仕事させる?」
「させるも何も現にさせているだろ」
「だってさ!!」
「仕方ないだろ、お前の親父の言う事は絶対なんだぞ?」
お互いに苛ついているのか声が段々ヒートアップしていく。
争う声が大きくなるにつれて周りが静かになっていく事に二人はまだ気付いていない。
「だいたいさ、俺明日陰陽寮に出勤だよね?」
「そうだな」
「朝早くから出勤だよね?」
「…まぁーそうだな」
「父上も知っているよね?」
「そりゃあー陰陽の頭だからな知ってるわな」
相方が相づちを打つほど少年の顔が段々と険しくなっていくが相方は見なかったふりをして視線を反らす。
「そうだよね、知ってるよねだったら……」
少年は大きく息を吸い込み大声を張り上げた。
「……だったら仕事を夜にまわすなーーーー!」
京の都へと怒号が響き渡った。
ガバリと立ち上がる。
肩をわなわなと震わせ拳を握りしめた。
「うわー…………ご立腹ー」
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