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「そりゃさ、父上からしたら普通の仕事だよ?力は強いし判断力はあるし。でもさ、それは父上だからであって俺はまだまだ半人前」
「まぁーまだ数えで14歳だしな」
「……そっか分かっているのか」
「まぁ…なんていうか…あれだ」
こめかみを右手で掻きながら少年へと体を向ける。
「なにさ、天貴(てんつき)」
不満そうに相方、天貴の方をむき口を閉じる。
何だかんだ言いつつ素直なんだよなぁと天貴は心の中でぼやきつつ口を開いた。
「お前はあの安倍晴明の息子だ。それだけでお前は周りから注目されるし、期待もされる。」
「それは分かってる」
「いや、分かってない。全然分かっていない」
「いいか?吉昌。お前は吉平の弟で晴明の息子だ」
「………………………?」
意味が分からないと言いたげな顔で少年、吉昌が首を傾ける。
まったく意味が分かっていない。天貴は、ものすごく言いたいことを心の中に押しやって、代わりに深く息を吐き出した。
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