闘技大会の書

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「マオちゃん、緊張するね。」 「……そうだな。」 (なぜ隣の席を陣取ってくるのかコイツは。) 隣に座っているのは予選で最初に会ったチャラ男だ。甘いマスクをこちらに向けて、微笑みかけてくる。緊張しているようには見えないが、仲良くもないのに話しかけてこないでほしい。 トーナメントを見る限り、ユウと当たるには決勝戦までいかないといけないらしい。それまでにユウが負けたら棄権してやろうと思っているマオの目の前で右往左往するツインテールがいた。 「彷徨くな。気が散る。」 「っな、アンタねぇ…」 次の試合に出場するレイナは緊張をほぐそうとブツブツと呪文を唱えながら控え室内を歩いていた。マオに気づいたレイナはすぐ喧嘩腰になるが、一瞬不安そうな顔を見せた。 「…それよりこの一回戦目の奴と次戦うんだろう。見なくていいのか?」 「…っ!見るわよ…ふん」 マオの口調はまるでクラーレにレイナが勝つことが当たり前のような口調で、レイナを安心させる材料には充分だった。 自信を取り戻したレイナは勝気な笑みを浮かべ、空いている席に座って映像を見た。 その姿を見て鼻を鳴らすと、ふはっと笑う隣のチャラ男。 「…なんだ。」 「いやぁ、優しいなと思ってさぁ。」 「………」 「あの娘のこと、予選の時も助けてあげてたみたいだしさ。」 褒められることにあまり慣れていないマオはどんな表情をすれば良いかわからず、ただ体をむず痒さだけが襲った。
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