2022人が本棚に入れています
本棚に追加
/275ページ
「鬱陶しい。」
「そんな辛辣なところも素敵だよ」
マオが席を立つと、その姿を楽しそうに見つめるチャラ男。さすがにどこまでもついてくるわけでもないらしく、その男は座ったままだった。
そんなチャラ男には目もくれず、マオは壁際にあるソファに足を組んで座る。横を見れば巨大なスクリーンにレイナとクラーレが対峙する姿が映っている。
「ダサい姿は見せてくれるなよ」
そう呟き、腕を組んでその戦いに目を向けた。
『さぁ、今度はSクラス対Dクラスの戦いです!!Sクラスのレイナ選手が優勢と思いきや、クラーレ選手は予選で結構ライバルたちを蹴落としてましたしねぇ。しかもレイナ選手も後少しのところで死にそうでしたからね!!』
そのアナウンスに笑みを深めたのはピンク頭のクラーレだった。対するレイナは内心どう思っているかは知らないが、凛とした表情をしていた。
『面白い試合となりそうです!それでは、は~じめっ!』
2人は向かい合いジリジリと詰め寄って、相手の動きを窺っている。
先に動いたのはクラーレの方だった。地面を蹴り上げて高く跳躍し、大きく手を広げ勢いよく振りさげる。その動きに素早く反応しレイピアを構えて迎え撃とうとする。
空から降ってきた毒々しい液体を後ろにジャンプし避けたが、一滴だけスカートの裾に落ちてしまった。その瞬間、ジュワァと広がるようにスカートの一部が焼け焦げた。
最初のコメントを投稿しよう!