闘技大会の書

7/39
2022人が本棚に入れています
本棚に追加
/275ページ
「鬱陶しい。」 「そんな辛辣なところも素敵だよ」 マオが席を立つと、その姿を楽しそうに見つめるチャラ男。さすがにどこまでもついてくるわけでもないらしく、その男は座ったままだった。 そんなチャラ男には目もくれず、マオは壁際にあるソファに足を組んで座る。横を見れば巨大なスクリーンにレイナとクラーレが対峙する姿が映っている。 「ダサい姿は見せてくれるなよ」 そう呟き、腕を組んでその戦いに目を向けた。 『さぁ、今度はSクラス対Dクラスの戦いです!!Sクラスのレイナ選手が優勢と思いきや、クラーレ選手は予選で結構ライバルたちを蹴落としてましたしねぇ。しかもレイナ選手も後少しのところで死にそうでしたからね!!』 そのアナウンスに笑みを深めたのはピンク頭のクラーレだった。対するレイナは内心どう思っているかは知らないが、凛とした表情をしていた。 『面白い試合となりそうです!それでは、は~じめっ!』 2人は向かい合いジリジリと詰め寄って、相手の動きを窺っている。 先に動いたのはクラーレの方だった。地面を蹴り上げて高く跳躍し、大きく手を広げ勢いよく振りさげる。その動きに素早く反応しレイピアを構えて迎え撃とうとする。 空から降ってきた毒々しい液体を後ろにジャンプし避けたが、一滴だけスカートの裾に落ちてしまった。その瞬間、ジュワァと広がるようにスカートの一部が焼け焦げた。
/275ページ

最初のコメントを投稿しよう!