闘技大会の書

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「Sクラスだか貴族だか知らないけどねぇ、お高くとまってたら痛い目見ちゃうよォ」 クラーレは自分の胸を強調するように腕を組み、舌なめずりをしてレイナの顔をジッと見据えている。 レイナは挑発に乗ることなく大きく息を吸って深呼吸をすると、クラーレを見て不敵に微笑んだ。クラーレがその余裕な笑みに一瞬たじろいだ瞬間、レイナは地面を蹴り上げレイピアに魔力を込めると、刃に炎が纏った。 「…っ、この」 地面がメキメキと割れ、その間からツルが勢いよくレイナに伸びてくる。華麗な剣さばきでツルをなぎ倒し、クラーレに詰め寄っていく。しかし、量が多すぎるためか、剣一本では到底追いつかない。 「チッ」 「なっ、アンタいま…」 「…何のことかしら?」 地割れの音で観客には聞こえなかったであろう舌打ちにクラーレが反応したが、レイナは澄ました顔で答えた。 するとあろうことかレイナはレイピアを放り投げため息をついた。その行動に戸惑いながらも警戒を強めたクラーレはツルで障壁を作っていく。 レイナは右手の人差し指に光るリングに軽くキスをすると、眩い光がレイナを包み込んだ。 眩しい光に目を瞑り、次に目を開くとレイナの両手には剣が握られていた。それはレイピアとは違い、刃は太く、それでいて鋭く、今の状況に向いていそうな武器だった。
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