闘技大会の書

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「…サンダー、ボルトシャワーっっ!!!!!」 絞り出すように出された声は掠れていたが呪文が発動するには申し分ないほど、鼓膜を揺らす声だった。 ー ゴォオオオオオオン 「ぁあ゛ぁ、ぐぁ…ぎ、あぁっ!!!!! 雷をまとった槍が雨のようにクラーレに降り注ぎ、悲鳴が会場に響き渡った。 ピタリと音が止み静寂の中、実況者が息を飲む声をマイクが拾った。 『クラーレ選手、戦闘不能!!よって、第2回戦、勝者はレイナ!!!!』 スタッフが地面に倒れてボロボロになったクラーレを確認し、実況者に報告すると興奮したような声で実況者が叫ぶ。そして観客たちも白熱した試合に盛り上がっていた。 クラーレが担架に乗せられると、カクンと崩れ落ち、膝をつくレイナ。毒が体に回り意識が朦朧とし始めている。スタッフの肩を借り、救護室へと歩いていく。 「……ふん、」 レイナが勝ったのを確認すると、マオは正面を向いて鼻を鳴らす。心なしか気分が良いマオは無意識に口の端を釣り上げていた。
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