闘技大会の書

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暇になって一眠りしている間に3回戦は終わった。 そして4回戦はミナトの出番だったが、なんとも見所のない試合だった。なぜならば試合時間たったの10秒でミナトの圧勝だったからである。 凄まじい速さで相手の後ろに回ったかと思ったら、マオを入れた4次元ポケットを頭から被せて場外に投げた。そこから出てきた対戦相手は呆然としていた。 「はぁ~疲れた」 5回戦の途中、ミナトが戻ってきてソファに座っているマオの隣にドスンと座った。 「疲れるようなことしてないだろ。」 「つーかーれーたー」 ミナトの頭がマオの肩に凭れ掛かり、体重をかけグイグイと押す。マオは腕を組んだままミナトの方に顔を向けるが、やはり疲れた様子はない。怪我もしていないし、試合後救護室に行ったレイナよりも早く帰ってきているのが何よりの証拠だ。 「異世界に住んでた俺が魔法使うってだけでも労力を使うわけ。」 「そうなのか。」 こちらの世界では魔法を使うのが当たり前だから、魔力を大量消費しない限りは疲労することはない。ましてや先ほどのミナトの試合程度でマオは汗ひとつかかないだろう。 「嘘だけどwwwww」 「歯ァ食いしばれ」 「ちょ…!やめ…マオっ、おいおいおいおい」 ミナトの胸倉を掴んで立ち上がったマオは手のひらに火の玉を宿し、ミナトに当てようとしていた。
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