始まりの書

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「眩しい。閉めろ…」 「ご自分で閉められたらいかがです?」 「……チッ」 寝起きも性格もちょっぴり悪いマオの扱いも十分に慣れているルシファー。 ニコリとしたその表情の裏には別の何かが隠されているようだが、それが何なのかはわからない。 仕方なく起き上がったマオは目をこすってあくびを一つする。少しムスっとした表情はいつもと変わらない。 「…人間界の動きは?」 いつも決まってルシファーにする質問だ。 ルシファーは気持ち悪いぐらい情報が早い。その面に関してはマオもルシファーを頼りにしている。 「…特に動きはない、と言いたいところなのですが……」 ルシファーは難しい顔をして言うのを躊躇っている。 「どうした…早く言え。」 人間界に動きがあるとなってはマオも黙ってはいられない。 マオは幼いながらも魔界を治める王なのだから。 「実は…… シルヴァニアの姫が異世界から勇者を召喚したのです。」
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