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序章
紅い月、赤く染まった〝大事なヒト〟
失われる平穏な日々と奪われた幸せな時間
『お願い…だからっ…ぅっ
っっ…嘘だって言って…お願いだから
夢だって言ってよぉ……』
涙を流して傷を癒せるのなら、この世に憎しみなど存在しなかっただろう
『あの馬鹿っ……なんでっ…こんなっっ…』
悲しみを忘れることができたなら、この世で争いなど起きなかっただろう
後悔を重ねる度に
憎しみを募らせる度に
罪を犯してしまう度に
この世界は血塗られていく。
無常で残酷、悲惨で醜悪
やがて腐り果て朽ちて逝くのがこの世界の運命ならば、この世界で産まれた者達の運命もまた……
だったらいっそのこと、こんな世界はさっさと壊してしまえばいい。
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