【番外編】猫の舌

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「ん?」  首を傾げて軽くチョコレートを揺らすと、学がううっと呻く。  こうしたことに慣れていないのだが、嫌いかというと、そうではないと知っていた。何しろ、学の中身はとても甘くて純粋だから。  根気良く待ってやると、おずおずと近づいてきた口がそっとチョコを咥えた。放して貰えると思ったのだろう、俺が咥えたままにしているとパキっと音が鳴ってチョコレートは割れてしまった。 「うわぁああぁあ」  何か珍妙な声を出して学が頭を抱えると目を逸らした。  照れているらしい。 「学?」  赤みの増した顔で学がこっちを向いたので、チョコレートの残る舌を差し出した。 「うっ、あっ」  理性と戦う学を観察するのは楽しい。  こんな時の俺は絶対に引かない。  出来るようになるまで何度でも繰り返す。  絆して、ぐずぐずにして、わけのわからない処まで嬲って。  自分の思い通りにする。  それはとても楽しい行為だし、学がそうなる過程は観察する価値がある。そして、学がそうされることに喜びを感じていることも承知している。なんだかんだといって学は俺に甘いのだ。 「目……閉じて」  恥ずかしがって、そう呟く学の言葉を俺は無視した。
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