第1章

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「やっぱりナマはいいな。子作りって幸せだな」 リューマは腕の中に私を抱いて、 髪の色とは違う薄い色素の瞳を私に向けながら、せっかくの王子顔なのに、 俗っぽい事を言うリューマを 溜め息つきそうになりながら 見つめ返した。 『顔で選んだんだろ』 ふと、ヨシの言葉を思い出した。 確かに、 一目惚れをした時点で 顔で選んだ事実は否めない。 もしも、リューマが不細工だったら 惹かれる事はなくて、 結婚もしていなかった? でも、 赤い糸で結ばれていたら、 容姿関係なくやっぱり惹かれ合っていたんだ。 私たちは巡り合わなければいけなかったのだから きっと、こうして夫婦でいるのは 必然だったに違いない。 「リューマはエロだよね。顔に似合わず」 「男はみんなエロいだろ?」 「リューマはエロくない、草食の人だと思ってた。顔とのギャップがありすぎ」 「うわー、それ言われんのマジで不快だわ。 オレを先入観で勝手に決めないでほしいよ、ミユキさん」 「………あ、ごめん」 「ミユキはオレのどこが好き?」 リューマは私に体ごと向いて片肘ついて私を見つめた。 「どこが……好きって……全部……かな?」 「中身はどこが好き?」 「…………」 「オレの内面だと、どこが好きなの? オレはエロいし、嫉妬するし、酒呑んで酔っぱらって、他の女とヘンな事しちまうし、どーしようもない男だよ?」 「…………」 そうやって本人に言われると否定できなくて ぐっ……と言葉を詰まらせてしまう。 そんな私の様子を見たリューマはフッと鼻で笑って言った。 「そうか。ミユキは、オレの外見に惚れたんだね?」 リューマが、哀しそうに微笑むから 私は慌てて頭を振った。 「ち、違うよ! リューマの仕事に対する姿勢を尊敬してるの。 軽そうだけど、誠実なところが好きなの!」
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