第1章

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「あったま………イッテぇな………」 元旦。 寝起きは悪かった。 テキーラなんて飲まされて、 リューマにしんみり飲むなと囃し立てられて 明け方の始発まで飲んでたら、いつの間にか寝てしまっていた。 『ヨシ、もうお開きだよ、起きて』 バーカウンターに突っ伏せて眠ってしまっていたら、ミユキに肩を揺さぶられる。 重たい頭を上げて辺りを見れば、 リューマも立ちながらカウンターに寄りかかり瞼を閉じてもたれかかっていた。 相当飲んだであろう幹事&主催のリューマは皆が退散するまで、居残ってるようだったけど、 見るからに沈没した状態で、ミユキだけがしっかりしていた。 朝日が眩しくて瞼をまともに開けられない状態で、電車に揺られながら、帰宅する。 部屋に入ってからは、崩れるようにベッドに倒れ込んだ。 正月に一人。 毎年正月休みは2日間しか取れないために 帰郷も出来ずに家でまったり年末の疲れを取るのが毎年恒例。 鹿児島に帰るのはいつも時期を外していた。 『付き合ってる女性もいないのか?』 親父に未来の嫁さんを連れてくる事を期待され、詮索される。 それがウザイ。 年も30を迎えてしまって、鹿児島のオレの地元では結婚適齢期を過ぎていた。 幼馴染みだった、高校まで同じだった彩佳がオレと同じ年にして、まだ独身でいるらしく、 家も近所という事もあって、両親が 『彩佳ちゃんはどうなの? 長年付き合っていた彼氏と最近別れてしまったみたいよ』 といらない情報を与えてくれたりする。 彩佳は異性としては見れない幼馴染みで、結婚なんて、とてもじゃないけど想像もできない。 しかし、彩佳が今月東京の観光で遊びに来る事になって、その観光案内を両親から頼まれ、本人からも久々にメールが来た。 何か仕組まれている気がしてならないけど、 断るのも彩佳に悪いと思って、承諾した。 彩佳は なんで、いい年迎えて彼氏と別れちまったんだろう。 第三者から見たら、独身同士うまく くっつけばいいって考えなんだろうけど、 当の本人からしてみたら、 迷惑極まりない。 放っておいてくれ、と言うのが本音だけど、家族と縁が切れない限りそれはムリな事なのかもしれない。
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