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「確かに、ないと不便なことが多いしな」
「透は?」
就職後、彼女ができたときに割と真剣に買おうとしたが、契約する前に別れてしまったのだ。
「持ってない。買おうと思って調べたこともあるけどな、タイミングを逃した」
そこまで話したところで、少し奥に駐車されているセダンタイプの白い車のロックが解除になる音が聞こえた。
賢吾が後部座席のドアを開け、荷物を載せている間、俺はやや呆然とその車を眺めていた。
頑丈さで知られる欧州車だ。
有名なドイツ車ほど価格は高くないが、同タイプの日本車と比較しても決して安くはない。
優雅な曲線を描くボディはつややかで傷一つなかった。
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