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「透」
わざわざ左に回って、賢吾が助手席のドアを開けて待っている。
「ああ」
緊張とともにダークグレーのレザーシートに乗り込むと、ドアが閉まる。
車内を見回してシートベルトをつけている間に、運転席に賢吾が乗り込み、流れるような動作でシートベルトをつけ、エンジンをかけ、エアコンのスイッチを入れて、シフトチェンジをする。
車が滑るように走り出す。
「マニュアル車なんだな」
シフトレバーに置かれた手がなめらかに動く。
「透の免許は?」
「マニュアル。でも教習所以来、マニュアル車は運転してない」
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