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その返事を聞いて、俺は賢吾を見る。
正面を向いて運転している生真面目な横顔を眺めて、頬をゆるませる。
「お前、時々、ホントかわいいよな」
「スーツケース持って、タクシーに乗る時には後悔したけどね」
「そうだったな・・・・バスで俺ん家帰ったのに、結局お前ん家に転がり込んで・・・・」
「あの日から、生きるのが楽しくなった」
賢吾を見ると、前を見つめたまま微笑んでいたのは一瞬のことで、続けて
「と思ったら、入院されて生殺しだからね。人生罠だらけ」
と言って、舌を出した。
「悪かったな!」
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