7.落下

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風呂から上がって、バスローブにスリッパという格好で賢吾を探す。 案の定、リビングでタブレットを触っていた。 真剣な横顔は、仕事の英文を読んでいることを告げている。 「賢吾、風呂ありがとう。気持ち良くて感動した。生き返った」 賢吾は俺を見て、端正な顔をやさしくほころばせた。 「顔色がすごくよくなった。やっぱり病院のお風呂じゃ落ち着かないよね」 「で、ドライヤー知らない?」 「ここにあるよ」 賢吾は手元のドライヤーを持ち上げて、ソファを軽く叩きながら言う。 「ここ座りなよ。乾かすから」
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