7.落下

10/68
前へ
/572ページ
次へ
「お前、過保護すぎ」 そう返しながらも言われた通りに座る。 「退院祝いの特別サービス」 楽しそうに笑いながら、ドライヤーのスイッチを入れた。 賢吾の指が俺の髪を梳きながら、ゆるめの温風を当ててくれる。 目を閉じて、あたたかい風と賢吾のやさしい手の動きを感じて、ほっと息をつく。 「透の髪、サラサラでうらやましい」 「そうか? お前も今の髪型似合ってるよ。短くはしないのか?」 賢吾ははぁーっとわざとらしいため息をつく。 「天パだから短いと鳥の巣みたいになって手間が増えるだけ。このぐらいの長さが一番楽なんだよ。邪魔な時は括ればいいし」
/572ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5193人が本棚に入れています
本棚に追加