第七章:束の間の幸せ・前

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「───尚斗くん。 背、伸びた?」 「えっ。 …あぁ、そうかもしれない。 測ったわけじゃないけど、部の先輩にも言われたから」 「そう」  ふふっと、小さく笑う。 本当に尚斗は、成長途中なのだなと思う。 (どんどん…大人っぽくなっていくのね。 顔は、相変わらず幼いけど)  自分の思いつきに、ひとり、笑い続ける。 尚斗が不思議そうに、瑤子をのぞきこんできた。 童顔の象徴ともいえるべき大きな栗色の瞳を、きょとんとさせながら。 「なに、どうしたの? 瑤子さん」
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