はじまりの影

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そこには真っ白い翼の人が浮いていて、あの人を見下ろしている。 真っ白な長い髪を三つ編みの様に一本に結い、右の肩から下がっている。 彫りが深くて目鼻立ちのくっきりした彫刻の様な顔立ち。 ーーーとても綺麗。 背中の翼の辺りから金色の光が発光していて、神々しい、まるで神か天使か?と言うような美しさ。 ふと、腕を上げあの人の頭部に触れるか触れないかの所で掌を広げる。 あの人は目を閉じ、じっと動かない。 「何してるの?」 心の声でカインとシュウにと聞く。 シュウの顔を伺うと、なんだか顔色が悪い…。 「キョウカにはアレが何に見える?」 「天使!」 答えるとシュウが首を振った。 「悪趣味だ…」 カインが私の心に伝えてきた。 「僕は初めて見たよ…」 シュウが伝えてきた。 その瞬間物凄い勢いでテラスのガラスが割れて何かがこちらに向かって飛んで来ている! シュウは咄嗟に私を抱き締めてまた強烈な圧力が身体中にかかった。 何秒か経つと圧力が弱まり、私達はコンクリートの壁に囲まれた部屋にいた。 どこだろう…。 「いってー…」 シュウはゆっくりと私から腕を離す。 シュウの左腕に大きなガラスの板が刺さっている!! ビックリしてあたふたとすると、遅れて部屋に着いたカインがシュウの腕からガラスの板を引き抜く。 シュウの腕から大量の血がぼたぼたと落ち、悲鳴をあげてしまう。 カインがシュウの腕に左手をかざして治癒の呪文を唱えた。 緑色の煙がシュウの腕を癒し、すぅっと傷口が閉まる。 ホッとして床にへたり込む。 「もー、キョウカに治癒して貰いたかった!!まぁ、守ってあげたんだから、キスでもいいけどねー?」 シュウが私の顔を覗き込むと唇を突き出した。 「ば、バカっ!!」 赤面してしまう。 「でもマジで危なかったねー!」 と言ってシュウは自分の腕をさすった。
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