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うちの主人と耳にして、内側が疼く。
嫉妬? まさか……あんなにも私は主人に愛されているのに?
「その時はよろしくお願いします」
「では失礼します」
どうにか笑顔を浮かべ、元カレの奥さんとにこやかに別れる。
玄関の扉を閉めると、深い深いため息を吐いてしまった。
急な残業。そして泊まりになるのは仕方のない事だった。
「大丈夫なの?」
『仮眠室もあるからね。それより戸締まりだけ気を付けてね』
「うん。じゃあ頑張ってね」
電話を切る。時間はもうすぐ20時だ。夕食の支度をしてしまったが、仕方ない。一人で食べよう。
「今日は大好きなビーフシチューにしたのに……全部食べちゃうぞ」
一人ごちていると玄関のチャイムが鳴り、その場で跳ね上がりそうになる。
「さっきの連絡は冗談で、帰って来たとか? まさかね」
戸締まりをなんて言うから警戒してしまう。恐る恐るインターホンのモニタを見ると……誰もいない?
そう焦ったのも束の間、小さな画面に一人の男が映る。
元カレだった。
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