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もう何度、交わったのか定かではない。
冷たい床の上。次は柔らかなカーペットの上。
主人が気に入って買ったソファが目に入り、つと涙が零れた。
「へぇ……今夜はビーフシチューだったんだ」
全裸でキッチンに立つ元カレに怒りが湧いてくる。
しかし、声を荒げる事は出来なかった。
受け入れたのは私だ。裏切ったのは……私だ。
「この前、会った時から、ずっとしたかったんだよね」
体を起こそうとして、眩い光に包まれる。
思わず目元を覆うと、元カレはひゅうと口笛を吹いた。
「やばい。それ系の投稿写真みたい」
撮られた?
慌てて脱がされたブラウスを手繰り寄せる。しかし、そんな小さな布きれ一枚では全てを隠しきれない。
「すっごくよかった。やっぱりお前が一番だな」
傍らに屈み込むと、髪をかき上げてくる。咄嗟に手にしているスマホを奪おうと飛びかかるが、見透かされていた様に捕らえられた。
「無駄だよ」
冷たい宣告が降り注ぐ。
「これからもよろしくね。お隣さん」
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