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起こさぬ様、そっと隣のベッドに忍び込む。
新居購入にあたり、有名な家具屋に足を運んだ。ダブルベッドを熱望されたが、シングルベッドをサイドテーブルを挟んで二台、並べて置こうと提案した。
「その方が絶対、ゆっくり休めるよ」
「う~ん……確かにそれも一理あるな」
その代わり、一生ものの買い物だと奮発して高級ベッドにした。お陰で引っ越して来て以来、快適な睡眠を得られている。
「おやすみなさい」
返事はなくていい。もう夢の中の主人の邪魔はしたくない。
部屋の灯りを手元のスイッチで消すと、ゆっくりと目を閉じた。
「初めてだったの?」
20歳の時だった。成人式の日に再会。よくある話だ。
お酒解禁のせいもあり、私は泥酔してしまった。
最悪の気分で目覚めると、隣で彼が気まずそうに目を細めた。
最初に通じる時、相当痛いらしいと噂に聞いていたが、アルコールのせいなのか、酔っぱらっていたせいなのか私は乱れに乱れただけだった。
ただ真っ白なシーツに咲いた赤い花が、私の処女喪失を示しただけだった。
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