隣人

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「おはよう」  まだ眠っていたかった。しかし朝食の支度をしなければと、微睡みそうな自分を奮い起こした。 「珍しく激しかったね」 「……え?」  頬にあたる胸板。確かな温もりに視線を上げる。  ついばむ様なキスをされたが、驚きで息が出来なかった。 「どうしたの?」 「ううん……おはよう」  私は裸だった。そして、主人の腕の中にいた。  全く記憶がない。いつの間に抱かれていたのだろうか? 「もう一回、していい?」 「ちょ……仕事でしょう?」 「今日は直行だから、ゆっくり」  いつもなら嬉しい知らせなのに、胸がざわめく。罪悪感。  するりと体を反転され、容易く組み敷かれる。カーテンの隙間から射し込む光が、朝を告げている。  甘い声を上げてしまう。吐息が零れ、何も考えられなくなる。 「すご……こんなになってるよ……」  いつもの生活空間に卑猥な音が響き続ける。  主人に抱かれながら、私は元カレを思っていた。  主人に元カレを投影し、あの頃を思い出していた。
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