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隆之助からの返信がきていた。そのメールにはこう書いてあった。「7月14日 父さんはもうスキャニングを受けた?結果がどうだったのかよかったら教えてほしいな。
― 7月14日 二日前にスキャニングを受けてきたよ。
残念ながら父さんはuselessnessだった。どうやらおれは人類にとって役に立たない人間だったらしい(笑)。
まあ、おれはそんなことで落ち込んだりしないから心配するな。
だが隆、これだけは忘れるな。どんな時代でも、人は必ず誰かの役に立ちながら生きている。そしてまた、誰かに支えられながら生きているんだ。
uselessnessやusefulnessなんて分類は何の意味も持たない。みんな1人の人間として生きている。そのことを忘れるな。」
隆はすぐに返事をうって送信した。「7月14日 僕は父さんのことを、uselessnessだなんて思わないし、きっと父さんのしている研究は、人類にとって役に立つことなんだって信じてるよ。
僕は昨日スキャニングを受けた。結果はusefulnessだった。それに妹の恵美もusefulnessだったんだ。みんなホントに驚いたよ。
秀樹はuselessnessだったんだけど、秀樹が僕のことをどう思ってるかが心配だ。
usefulnessは8月中にアメリカへ渡らないといけないことになっているんだ。父さんは今、アメリカのどこにいるの?
よかったら向こうで父さんに会いたいと思ってる。もうすぐ恵美と2人でそっちへ行くよ。」
1階から夕飯の準備を手伝うようにと、智子の声が聞こえてきたので、隆は下におりた。1階ではいつの間にか帰ってきた秀樹がテーブルにハンバーグは運んでいた。
「帰ってたのか」
隆はわぞとらしい口調にならないように意識して、秀樹に言った。
「おう」
秀樹はそう言っただけで、隆もここから言葉を続けることができなかった。
達徳が帰ってきたところで、みんなで夕食を食べ始めた。達徳がアメリカに行くための準備の話を持ち出し、隆はそれについて答えたが、結局秀樹とは、なにも会話がないまま、秀樹は夕飯を食べ終え、自分の部屋へ行った。
隆は、最近秀樹が自分のことを避けているように感じられ、どう接していいのかわからずにいた。
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