佐藤 隆

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隆は達徳に向かって言った。  「母さんをよろしく頼むよ。これからは2人だけの時間を大切にすごして、母さんを幸せにしてやってください。」  「ああ、隆も体に気をつけて。こまめにメールも送るんだぞ。」  「ありがとう。父さん。」  そういうと隆は検問所をくぐり、飛行機の搭乗口へと向かった。隆はその際、一度も後ろを振り返らなかった。  昔の飛行機は日本からアメリカへ行くのに十何時間もかかっていたらしいが、今は日本からアメリカまで約4時間のフライトでいける。  「この時代の科学技術の発展は著しいが、人の心を満たすもの何一つないな。」隆は自分の座席につき、そんなことを考えていた。  すると、間もなく離陸のアナウンスが流れ、隆はアメリカへ向かった。  ソーティング・プロジェクトのこと、隆之助のこと、秀樹のこと。隆の頭の中には不安しかなかったが。心の中には一握りの勇気を持っていた。
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