佐藤 隆

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  列は長いがスムーズに進んでいる。列の先頭では人間型のロボットが「ヒューマニティ・スキャナー」を手に持って、その先端から発せられる緑色のレーザーを人間にあてている。スキャンが終わると、ロボットはヒューマニティー・スキャナーのスクリーンを見て、その人間が「uselessness」か「usefulness」かを読み取る。その後ロボットは別の機械で、その人間の腕に赤色のレーザーを照射し、「uselessness」か「usefulness」かいずれかの印を腕に焼印する。    「よっしゃーーーー!」  右から2番目の列の一番前で、usefulnessに選ばれた大学生くらいの男が叫び、喜んでいた。  左から3番目の列の一番前では、50代くらいの男性がロボットと役人に向かって大声でどなっていた。  「おれがusefulnessだなんて、その機械壊れてんじゃねーのか!おれはこの地球に生まれたときからこの地球で死ぬって決めてんだよ!だれが火星なんかに行くか、このクソヤロー!」  男性がそう吐き捨てて立ち去ろうとしたとき、ロボットが呼び止めた、  「せっかくusefulnessに選ばれるほどの才能を持っていながら、残念です。」  ロボットがそういうと、役人が数人でその男を抑え込み無理やり館内に連れこんだ。  30分ほど待ってようやく達徳の番がまわってきた。  「東京都中野区在住 佐藤 達徳」  ロボットの隣のアシスタント的な役員の人がそう言うと、表情のないロボットはヒューマニティー・スキャナーで達徳をスキャンし始めた。スキャンが終わり達徳の腕に押された印は「uselessness」。達徳は何も言わず、列の横に捌けた。  次は隆の番である。隆は変に緊張していた。アシスタントが隆の名前を読み上げると、すぐにスキャンが始まった。そして隆の腕に押された印は「usefulness」。  隆は戸惑いながらもはにかんでいた。別に「嬉しい」という感情があったわけではない。火星に移住できると思うと未来に希望をもてたのか?そもそも隆自身なぜ自分がその時はにかんだのかよくわからなかった。隆は達徳の隣に行った。達徳は隆の顔は見らず、  「よかったな。」 とだけ笑って言った。
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