佐藤 隆

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 次は秀樹。秀樹は終始真顔でずっとロボットの顔を見ていた。結果は「uselessness」。続く智子も「uselessness」。最後は恵美だった。 恵美は少しロボットにおびえ顔がひきつっていた。スキャンされ、恵美の腕に押された印は「usefulness」。  恵美の腕の「usefulness」を見て家族4人は驚いた。  「ひとつの家族から2人もusefulnessがでるなんて他にないぞ!これは奇跡だ!奇跡!」  達徳が少し興奮気味に言った。  そこに一人の役人が近づいてきて  「usefulnessと分類されました方はこちらへおこしください。ご家族の方につきましては10分ほど待っていていただけますでしょうか。」 と言うと、隆と恵美はその役人につれられ館内のほうへ入っていった。  10分後、隆と恵美が館内から出てきた。達徳、秀樹、智子は車の中で待っていた。2人が車に乗り込むと家に向かって出発した。  「さっきはいったい何の話があったんだ?」  帰りの車で達徳が隆に聞いた。隆が言いにくそうに答える。  「usefulnessに分類された人は8月の31日までにアメリカに行かなければならないらしい。アメリカに行くことができるのはusefulnessだけで、たとえその家族であってもアメリカへ同行することはできないって言ってた。でも、日本政府がアメリカでもおれと恵美のサポートをしてくれるらしいから、多分大丈夫さ。パスポートとチケットもさっき渡された。もちろん恵美の分もだ。」  「市役所の人に頼んでusefulnessを取り消してもらうことはできないかしら?隆だってまだ高校生だし、恵美にいたってはまだ4歳よ。2人だけでアメリカへ行くなんて無理よ。」  智子が不安げに震えた声で言ってきた。 「さっきusefulnessに分類されて、抵抗していたおじさんが連れて行かれるのを見ただろう。きっとあの後殺されたんだ。日本ももう昨日までとは違う。すべてが火星移住計画に向けて動き出したんだよ。」  隆が答えると、智子は黙った。
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