佐藤 隆

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 家に着いて再び隆と達徳と智子で話し合いを始めた。秀樹はすぐ自分の部屋へ行った。彼は帰りの車から一言もしゃべっていない。別に火星へ行けないことはいい、しかし兄と妹がusefulnessで、自分が役に立たないuselessnessと分類されたことのショックが大きかった。秀樹は自分のすべてを否定されたような感じがして、今までに味わったことのないような孤独にさいなまれていた。  智子は話し合いの中で、泣きながら隆と恵美がアメリカへ行くことを止めようとしていたが、usefulnessがアメリカへ行くのを断ることの危険性を理解し、最後には、隆と恵美はアメリカに行くという方向で決定した。 7月14日    隆は自分の部屋で、パソコンで隆之助にメールをうっていた。「7月14日 父さんはもうスキャニングを受けた?結果がどうだったかよかったら教えてほしいな。」    「お昼ごはんできたわよー。」  一階から智子の呼ぶ声が聞こえて、隆は下へおりた。恵美はもうすでに食べ始めていた。昼食はインスタントラーメンと智子のつくったチャーハンである。隆は智子のつくったチャーハンはあまり好きではなかった。  「秀樹は?」  いつも食事の時にはきちんと自分の部屋からおりてくる秀樹の姿が見られなかったので、隆が聞いた。  「秀樹は朝から用事があるって言って出て行ったわよ。」  智子がそう言うのを聞いて、隆は何かがひっかかった。別に秀樹が外に出るのは珍しくないが、昼食の時間に帰ってこないということはめったにない。それに昨日から隆は秀樹と一言も話していないのだ。  「お腹がすいたら、帰ってくるでしょうよ。」  智子はそう言い、隆は昼食を食べ始めた。なぜか智子のチャーハンが、いつものより不味かった。  そのころ秀樹は、自分の通っている中学校の近くの公園に仲のいい不良グループと一緒にいた。秀樹は中学校1年生の2学期からこの不良グループと付き合っている。そして秀樹と不良グループの前には、同じ中学で1年生の川島という男子生徒がおびえた様子で立っていた。  「貴様usefulnessに選ばれたそうじゃねーか。ってことは、さぞかし頭がよくて、運動神経も抜群ってことか?」  不良グループの1人が川島に向かって言った。
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