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西暦2115年
西暦2115年。
19世紀末から現在に至るまで、「人口爆発」と呼ばれるほどのスピードで人類は繁殖していき、その世界人口はすでに100億人を超えていた。
そんな中、今日の地球は、温暖化、大量の廃棄物、食糧不足、それに加え世界各地で起こる紛争や内乱、テロにより荒廃しきり、この地球に住めなくなるのも時間の問題だった。
そこで各国の政府が出した答えが火星移住計画だった。各国はおよそ120年前から火星の研究、探査、開拓を進め、もうすでに人類が火星へと移住できる準備は整っていた。
しかし問題となったのが、誰が火星へ移住できるかであった。火星の表面積は地球の表面積のおよそ4分の1。100億人にも膨れ上がった地球上の人類すべてが火星へ移住できるわけではない。
そのために世界単位で打ち出されたプロジェクトが「ソーティング・プロジェクト」である。これは人間一人一人のIQ、運動神経、思想などを機械が見極め、その人間のすべてを解析し、今後の人類の発展、繁栄に役に立つ人間と、そうでない何の役にも立たない普通の人間とを分類するプロジェクトである。
その機械は「ヒューマニティー・スキャナー」と呼ばれハンドガンとカメラを合体させたような形状でモニターがついており、先端からレーザー光線を発し、人の全身をスキャンする。そしてそのモニターに「usefulness」と表示されれば、その人間は役に立つ人間として火星に移住することができ、「uselessness」と表示されれば、その人間は役に立たない人間として地球に残され、地球とともに朽ち果てるという運命をたどる。
なお、このプロジェクトはすべての人間を対象に行われ、必ずヒューマニティー・スキャナーによってスキャンされなければならない。その結果に抵抗してはならず、抵抗したものは猶予を与えず、即その場で殺してよいという制度になっている。これは人口削減になり、「uselessness」側の人間が少しでも長く地球に住めるようにするための制度だ。「usefulness」側の人間でもこのプロジェクトに異議を唱えたり反対するものは、即死刑に処される。
「usefulness」に分類され、火星に移住できるのは、所属国家、人種を問わずすべて個人の能力だけを基準に分類される計25億人。つまり世界人口の約4分の1が火星へ移住できる。
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