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岩手山には鬼の手形か付いた岩が存在するように、逸話はどこにでも転がっているのだなと思った。
私は手にしたパンプレットを見詰める。
例えば、矢が山を越したから矢越山だとか、室根のシンボルとなるから室根山だとか、木が切り取られて禿げ山だとか。普段は気にしない屋号にも結局意味がある。
そんな感じで、パンプレットには有名ごとや特産品が箇条書きされている。
数十年前にすみよい村コンテストとやらで金賞を受賞したともある。
催し紹介覧によると、国家が認めた祭りもあるそうだ。
室根祭り。
室根山からふたつの御輿を担いだ男たちが競って駆けてくる。
広場に作られた櫓(やぐら)に御輿を乗せて、先に乗せた御輿にとりついている神様に雨量植栽を願い、山側が勝てば、豊作。海側が勝てば、豊漁が約束される。
そんな一大イベントが、四年に一度、秋にある。その豊作祭り、テレビで特集が組まれたことがあるそうだ。
おそらく、国道184号線、岩手県一関市と気仙沼の間にある室根村にしてみれば、かなりの騒ぎだろうなって思う。
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