きらら

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「でも、凄く綺麗だよ。青空」 私は初秋の空と線路の向こう側で揺れる稲穂を交互に眺めた。空は真っ青。室根山方面からハングライダーとパラグライダーが飛んでくる。 地上では、稲穂がさらさら揺れている。そろそろ刈り入れが始まるんだろう。農家の人が機材を動かしている。 自然豊かな光景は、街では見ることはできない。都会のビルを見慣れている竜二は稲穂の動きが面白くてしかたないみたい。 稲穂が揺れると本では書いていたけれど、実際に風に揺れている姿を見たのは初めてで、風が吹く度に不思議な世界を見るような気がした。 そこから、特産品の米「きらら」は名付けられたのかもしれない。私はパンプレットを鞄に入れた。 「長閑だな。俺も農業やろうかな。トラクター使って畑を掘り起こして、米を作って。その祭りで御輿を担いで走る人生も悪くない」 竜二がぽつんと言った。
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