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――コンコン
「失礼します。」
ドアを開けて理事長室に入ってきたのは松嶋弥生だった。
「松嶋先生。何かご用ですか?」
書類に目を通していた理事長は書類から目を離すと弥生の方を見る。
「なぜ大沢くんを特別クラスにしたのですか?」
ほんのわずかの躊躇の後、弥生は真っ直ぐ理事長を見つめて言葉を発する。
「何か問題でもあったのかしら?」
本当に不思議そうに理事長は弥生に尋ねる。
「問題があった訳ではありませんが、なんと言うか…
あまりにも大沢くんが普通なので…。」
理事長が無言で先を促すと弥生は言葉を続ける。
「大沢くんは特に賢い訳ではないですし、運動神経も普通です。
何でも無難にこなせるようですが、これといって彼に得意なものは見当たりませんでした。
理事長はどうして彼を選んだのか、その…純粋に不思議で。」
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